天空の馬車

この道の向こうが、その行く先が、少しづつ天に向かって昇り続けていたら・・・
それは天空に向かう道にちがいありません。遥か先の道が雲間に消えて、どこまでも青空に伸びて行く道、そんな道を馬車に乗ってゆっくりと昇りつづける。

 

それが馬車でなくても、自動車であっても何の問題もありません。そのクルマに乗るのは女性であるあなたです。

 

そもそも道というものが、クルマが登場してから飛躍的に重要度が増してきました。ひとくちに「道」といっても、さまざまなものがあります。

 

田舎の風光明媚な道、舗装もされていない道を泥んこになりながら走る道もあれば、都会の信号待ちばかりの道路もあります。あるいは、猛然とスピードを上げて疾駆できる高速道路のようなものもあります。

 

どのような道も、クルマなら軽快に気分よく走ることができます。しかし、もっともロマンチックな乗り物は、馬車です。あなたの乗るのは、1頭立ての2輪幌馬車でしょうか、それとも2頭立ての4輪馬車でしょうか?

 

なかには、平安朝の華やかな装飾性に富んだ牛車がいいという方がおられるかもしれません。いづれにしても、乗り物の最大の特徴は、乗る本人ばかりでなく、どんな夢でも一緒に載せてくれることです。だから、昔から乗り物にのると気分が浮き浮きとしてくるのです。

車

したがって、その乗り物に乗る目的が旅であったなら、なおさら気分が高揚するのです。徒歩での旅では、その気分が盛り上がらないのは誰でもご存じでしょう。徒歩では「夢」を載せることができないからです。

 

しかし、現代の乗り物は、馬車でもなく、牛車でもなく、自動車です。車といえば、それはもう、特別な状況でないかぎり、自動車を指します。

 

その自動車の主役は誰でしょうか? 男性、それとも女性? 自動車の闊歩する現代のクルマ社会に対して、あなたはどのようなイメージを持っておられるでしょうか?

 

女性からすれば、クルマ社会は、男がオトコ向けに作り出したもので、所詮女性向きには出来ていない、と感じられる方も多いのではないでしょうか?

 

しかし、それはたんに車が誕生した当初、まっさきに男どもが車に乗り込んだけの話で、車そのものが男性用に出来ているとか、そういうことではまったくありません。

 

いや、車こそ女性向きのマシーンじゃないかって、考えている人もいるようです。なぜって、車を動かすには、スイッチを入れてハンドルを回すだけで、額に汗をかくような力仕事を必要としないからです。

 

「車と女性」それとも「車と男性」、どちらが絵になると思います? もちろん十中八九の人は、「クルマと女性」のほうが、絵になると思いますよね。どう見たって、車は女性向きの乗り物でしょう。

 

でもっ! クルマが故障すれば、ボンネットを開けてエンジン回りに顔を突っ込んだり、車の下に潜って、衣装のよごれる汚い作業があるじゃないですかって? 

 

そう、それこそ車が、女性の乗り物だってことなの。だって、そんな汚いことは、女性の奴隷たる男性がすることで、女王たる女性は、つねに車を運転するだけでよいのですから。

 

だから近頃は、バレテきてしまったのです。車こそ女性向きの文明の利器であることが…。それで最近は、教習所の教官、あるいはタクシーやトラックのドライバーさんが女性だったりするのも珍しくなくなってきているのです。男性と同じレベルか、それ以上に運転が上手な女性もたくさんいるわけです。

 

いまは、自動車メーカーが女性向けに開発したとアピールする新車もドンドン発表したりしていますしね。これからは、クルマ社会を作り出しているのは女性である、と言われるようになるかも…。

 

そして、これからのクルマに求められるのは、これまでのような、機能や経済的合理性を追求した車であるよりも、天空を駆けるがごとき夢と優雅さとロマンあふれるクルマではないでしょうか?